第2類・第3類医薬品を販売ができる登録販売者。しかし医薬品をただ販売すればよいわけではなく、購入しようとするお客さんへの適切で正確な情報提供や、相談に対応することも重要な仕事です。接客スキルが高い登録販売者にはリピーター(あなたのファン)も付くため、店舗にとっては貴重な存在です。
そんな接客スキルの高い登録販売者を目指すためには、どのようなコツが必要なのか、こちらのページでは7つのポイントを紹介していきます。
登録販売者が扱うのは主に第2類・第3類医薬品と呼ばれる市販薬。そのほかにも漢方や健康食品などの販売と相談に応じます。そのため登録販売者は、一般的な接客サービスと異なりお客さん(あるいは身近の方)の健康的な悩みに応じる、というデリケートな部分を扱わなければなりません。
こちらでは一般的な接客サービスから、登録販売者ならではの接客サービスをポイントごとに説明していきます。自分の接客について疑問を抱いている方、接客スキルをさらに上げたい方はぜひ参考にしてください。
ヒトの第一印象の約9割が身だしなみで決まると言われているほど、身だしなみを整えることは接客業において大切なことです。お客さんからすれば、一目見て不快感ある身なりをしている店員より、身だしなみの整った店員に質問や相談を持ち掛けるのは当然のことです。
ましてや登録販売者が扱っているのは医薬品です。清潔感に欠けた身なりや派手なファッション、匂い(たばこ・口臭・香水など)はNGです。接客のプロを目指すのであれば、お客さんの前に出る前に今一度鏡を見て下記のようなポイントをチェックしてください。
お客さんが一目見て「この人なら話しかけやすそう」「信頼できそう」と思わせる身だしなみを心がけてください。
挨拶と適切な敬語も接客業の基本です。ルーティングとして「いらっしゃいませ」とか「こんにちは 何かお探しですか」など言うのではなく、相手を見て明るく笑顔で話しかけることが大切です。
言葉遣いに関しては、丁寧な敬語で話しかけることが基本です。しかしあまり丁寧過ぎても慇懃無礼に伝わってしまったり、見えない壁を作っているような印象を与える恐れがあります。お客さんの年齢や雰囲気などを見極め、敬語を使いながらも円滑なコミュニケーションができるように心がけましょう。
接客においての8大ワードは次の通りです。日常であまり使わない言葉もありますが、接客中は自然に出るように身に付けておきたいものです。
質問や疑問を店員(登録販売者)に躊躇なく話しかけてくれるお客さんもいれば、遠慮をする人や内気なタイプのお客さんも多いものです。接客スキルをあげたいのであれば、お客さんの様子を観察し、迷っているようであれば声を掛けて商品選びのサポートをすることが大切です。
登録販売者の仕事は陳列や品出しなどもあるため、お客さんの動向をすべて見ることはできないでしょうが、医薬品売場にいるお客さんに対して注意をはらうことはできるはず。お客さんが時間を費やしている棚をチェックしたうえで、問いかけてみましょう。
またお客さんのなかには、話しかけられるのが苦手な人もいます。そんな場合でも、「もし症状によってどのお薬がいいのか迷ってらっしゃるのであれば、ご相談にのりますよ」と「迷いの元」をさりげなく提示すれば、相手も話やすくなるかもしれません。
ここからはいよいよ接客スキルの上級編。「あなたがいい」と指名されるような登録販売者になるためにも、ぜひ習得したいテクニックです。
医薬品の相談をしたいお客さんは、体の不具合や気がかり、どんな医薬品が自分に合うのか不安で迷いを抱いているものです。そんな時に、登録販売者がお客さんの話や声に真摯に耳を傾け、目で相手の状態を知り、心を傾け共感すれば、お客さんはもっと話しやすくなり、症状に合う薬の手がかりも得やすくなります。
この「耳・目・心」を使って傾聴するというのは、決して簡単なことではありません。しかしここで導き出された適正な医薬品と、話をきちんと聞いてくれた店員(登録販売者)に対し、お客さんは大きな信頼感と安心感を寄せることになるでしょう。そうなったら他店に行くより、他の店員に尋ねるより、「あなたにお願いしたい」と指名されることになるはず。
お客さんに共感するというテクニックがわからない人は、聞き取りの際に「バックトラック」を使ってみましょう。バックトラックとは、相手の言葉の一部をオウム返しして、まとめたり合いの手を打ったりすることです。
例えば、前の晩に咳が出てなかなか寝れないと訴えてきたお客さんに対して、「そういった症状にはこの薬が効果的です」とすぐに商品を提示されるより、「咳がつらくて眠れなかったのですね。それはおつらかったでしょう。朝は疲れていなかったですか?」と相槌と共感を伝えてから話を進めたほうが、相手に共感が伝わり好意を持ってくれやすくなります。ぜひ試してください。
医薬品の薬学的知識は、登録販売者にとって当たり前のことであっても、お客さんにとっては専門外の事柄です。初めて耳にするような専門用語や薬品名など用いても、お客さんの耳に入っていきません。わかりやすい言葉に置き換えたり、納得しやすい例を挙げて説明する工夫をしましょう。
専門用語をわかりやすく言い換えるのが難しい感じているならば、ベテランの登録販売者や薬剤師からアドバイスを得るのもひとつの方法です。
接客が難しいのは、さまざまなタイプのお客さんに合う対応を短時間で見極めなければならないことです。
薬学的知識については登録販売者のほうが詳しいため、お客さんの話をヒヤリングし、症状に適した医薬品を提案するのが一般的です。しかしお客さんにとって、それが飲み慣れない薬のタイプ(散剤・錠剤・シロップなど)だったり、いつもと違うブランドだった場合、拒否されることもあります。
そんなときに自分の情報が正しいと押し通そうとすると(たとえ丁寧な接客であっても)、あなたに対する心象は悪くなる可能性があります。本当にお客さんの求めているものを提供できているか見極め、柔軟に対応することも接客スキルのひとつです。
登録販売者として接客業に就いて間もない人は、お客さんから相談を受けた後にメモや記録をつけることをおすすめします。記録をつけることで、自分に足りない情報やスキルなどを振り返ることができ、接客のレベルアップ及び医薬品知識の吸収に役立ちます。
あらかじめ下記の内容のテンプレートを作っておくと、短時間でメモすることができるでしょう。
ドラッグストアや薬局は地域に密着した営業を営んでいます。そのため周辺住民や勤務している人などが定期的に訪れることが多々あります。対応したお客さんのことを記録し覚えておけば、次回の接客にきっと役立ちます。「この商品も選択肢にいれておけばよかった」などの反省点も必ずメモしておきましょう。
店舗に訪れたお客さんが気持ちよく、そして満足いく商品を購入してもらうようにサポートするのが登録販売者の接客です。
接客のプロになるにはお客さんの気持ちが温まるような、不安な気持ちが晴れるような対応をしなくてはいけません。そのためにも、お客さんの立場に寄り添い対応することが大切です。
今回の接客スキルの習得で挙げた3つのポイントは、基本だと覚えておきましょう。
さらにここからレベルアップさせて、お客さんを観察して話しかけるタイミングを計り、ヒヤリングと共感、そして知り得た情報から適切な医薬品を選び説明し、お客さんに安心と満足を与えるのが「相手の心を動かす接客」です。
「あなたに相談にのってもらいたい」という固定客が増えるよう、経験を積んでいきましょう。