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登録販売者は不要になるの?「2分の1ルール廃止」の影響を予測

2021年3月、厚生労働省は一般用医薬品(OTC)の販売時間規制「2分の1ルール」を廃止する意向を発表しました。この省令改正案が実行されれば、登録販売者が店舗にいなくても、第2類・第3類の医薬品販売が可能になります。今回の省令改正案の背景や今後の登録販売者の雇用の予測をまとめてみました。

2分の1ルール改正案の背景は

今回の改正案は「2分の1ルールの廃止」と、その代替として「資格保有者による遠隔管理販売」を可能にするというものです。このような改正案に至った過程には次のような背景があります。

2分の1ルールとは

OTC販売は保健衛生上の支障が生じないように、薬剤師または登録販売者が店舗の営業時間のうち半分以上常駐しなければならないと定めています。それが「2分の1ルール」です。昭和39年に厚生省が「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」として施行されました。

改革を臨んだのはコンビニ業界

今回の省令改正を持ち込んだのは、大手コンビニエンスストア企業が加盟する日本フランチャイズチェーン協会です。

2009年に登録販売者制度が開始して以来、ディスカウントストアやコンビニ、家電量販店、ホームセンターなどが参入してOTC販売参入が始まりました。一部のコンビニ業界では、すでに登録販売者を雇用してOTC販売を始めています。しかし24時間営業中、「2分の1ルール」を満たすのが困難な企業やエリアのほうが多く、OTC参入は思うように進んでいません。そのため日本フランチャイズチェーン協会では「2分の1ルール」の規制緩和、あるいは撤退を長年要請していました。

コンビニに医薬品があれば、夜間でも簡単に手にいれられるという消費者側の利益につながること、そして政府としても「セルフメディケーション」の推進を促せます。

このような背景から、2020年12月に内閣府規制改革推進会議を経て、OTC医薬品の販売規制が緩和方向になりました。2021年3月には同年8月に「2分の1ルール」が廃止される意向が発表されました。

この施行に反対意見も

「2分の1ルール廃止」が「登録販売者不要論」につながるとして、改正案に異議を唱えている団体がいます。日本医薬品登録販売者協会をはじめ、日本置き薬協会、日本配置販売業協会など登録販売者の雇用や地位を守ろうとする団体です。

登録販売者の資格試験の受験者は、コロナウイルス感染拡大の影響で2020年は減少したものの、毎年2万人単位で増えて合格者総数はすでに30万人に達しています。これだけ多くの人材が、店舗の衛生管理と的確な薬の相談窓口になるための専門家を目指しているのに、今後登録販売者の活躍の場が減少してしまう可能性を懸念しています。

業界によって求人枠に差が出る可能性も

登録販売者の雇用の減少は懸念されるものの「2分の1ルール」廃止後も「OTC販売に薬剤師や登録販売者が関わること」という規則に変更はありません。

もともと「2分の1ルール廃止」はコンビニ業界が強く望んだ改正案のため、大手のコンビニエンスストアでは、各店舗の登録販売者採用を控えてネットで消費者に対応するビジネスケースも出てくる可能性が高いでしょう。

しかしドラッグストアや薬局、スーパーの医薬品コーナーなどは売り場面積が広く、取り扱う医薬品や健康食品、漢方薬など膨大な商品数を扱います。店舗の衛生状態を管理したり、消費者から相談や質問をされた際に、その場で迅速に対応できる専門家が必要とされるはずです。そのためドラッグストア業界などでは、雇用が急激に減る心配はないでしょう。

また現時点で登録販売者として働いている人は、即戦力になるため解雇の心配も少ないのではと予測されます。

まとめ

「OTC医薬品販売に専門家が関わることが必要である」という前提は変わりません。登録販売者が店舗にいなくてもOTC販売に対応できそうなのは、取り扱う商品数が少なめで、ネット対応が可能な企業力が絡んでくると言えそうです。