登録販売者としての実力と信頼を得るには、試験に合格して働いてからが勝負です。たとえ研修中の立場であっても、惰性で時間を積み重ねて管理者になるのと、研修期間中を有効に使ってスキルアップした管理者とでは、その後のキャリアに大きな差が生じます。
仕事を始めて間もない頃は覚えることがたくさんあり大変かもしれませんが、ルーティングを覚えたら次のステップへ進みましょう。信頼できる先輩の立ち振る舞いや接客スキルをよく見る、新商品の知識習得など身に付けるべきスキルはたくさんあります。
「ブランディング」とは、マーケティングでよく使われる用語です。消費者や顧客が特定の商品やサービスに対し、その価値を認知させることを言います。
ドラッグストアでは多くの登録販売者が働いていますが、消費者や企業にとって価値のある従業員になるため、そして登録販売者として自分の将来のためにブランディングを目指しましょう。
ドラッグストアやスーパーなどの医薬品コーナーでは、メイクアップ用品や基礎化粧品も数多く扱っています。店舗内で働いていれば、化粧品についての質問をされることもあるでしょう。
登録販売者は第2類・第3類の市販医薬品に関して学んでいますが、美容品に関してのスペシャリストではありません。しかしお客さんの側からすれば、スタッフの勉強不足という認識になります。顧客からの質問やアドバイスの要望に応えられるよう勉強をしておくことは、従業員として大切な要素でしょう。
ビューティアドバイザーになるための資格は存在しません。しかし化粧品の基本的な知識やスキンケア、メイクアップ技術、化粧品に関する法律などの知識に関する資格試験は存在します。
このような資格を取得して知識力をアップしておけば、自分のため、そしてお客さんのため、さらに今後の仕事の幅も広がることになります。
登録販売者の資格試験には漢方や生薬の問題も出題されます。これは一般的な薬局やドラッグストアでも漢方を扱っているからです。
最近は、消費者側も西洋の医薬品に頼るだけでなく、漢方医学に興味を持つ人が少なくありません。日本で扱っている漢方は約150と言われていますが、まずは基本になる生薬(甘草・麻黄・大黄など)を皮切りに、少しずつ知識を増やしていきましょう。
ほとんどの漢方薬は第2類・第3類の医薬品です。漢方薬の服薬指導は高い専門性が必要ですが、漢方を深く習得すれば漢方薬局で働けたり、漢方薬局を開業したりといった選択肢が増えます。
医薬品の開発はどんどん進み、新しい商品が次々と店頭に並びます。登録販売者として働く限り、常に勉強してこれらの商品知識を頭に入れておく必要があります。
それはお客さんが登録販売者に症状を訴えてきた際に、新商品を含めてどの医薬品が最適なのか判断しなければならないからです。新商品について正確な情報を提供できない登録販売者は、信用を失うことになると心に留めておいてください。
市販の医薬品は、大手企業が手掛ける「ナショナルブランド」が広く流通していますが、ドラッグストアを運営している会社によっては、自社が作ったプライベート製品を販売していることがあります。
自社ブランドはナショナルブランドより低い仕入れられるため、高い利益率を出すことができます。つまり同じ有効性がある医薬品であれば、自社ブランドを上手にすすめて購入してもらったほうが店舗の売上げに貢献できるということです。
さらにお客さんがその商品を気に入った場合、お客さんの囲い込みにつながることもあります。プライベートブランドがあるならば、ぜひその商品の成分やアピールポイントを学習して、お店の利益につなげていきましょう。
医薬品の成分や商品の知識があっても、お客さんとの接客スキルが乏しければ専門知識が活かすことはできません。
コミュニケーションは現場で身に付けるしかないので、まずは接客名人の先輩を見つけ、どのような接客法をすればお客さんに満足してもらえるのか、目で盗むことから始めましょう。一般的に上手な接客法は次の通りです。
接客はマニュアル通りにいかないものです。わからないことは先輩にアドバイスを求めてスキルを磨いていきましょう。「次回もあなたにお願いするわ」とお客さんに言われるような信頼される健康アドバイザーを目指しましょう。
品出しや商品陳列、POP作りなどの売り場づくりも登録販売者の仕事です。自分の担当部門を持てるようになったら、お客さんがついつい手にしたくなるような売り場づくりをしてみるのはいかがでしょうか。
お客さんの導線やレイアウト、視覚的に訴えるようなPOP、シーズンごとのニーズを取り入れるなどを創意工夫することで、売上げアップにつながることもあります。まずは自店舗の売り上げが高いコーナーや、多店舗のセンスのよいレイアウトなどを参考に実践してみましょう。売上げを伸ばして実績を重ねれば、さらなるキャリアアップにつながります。
登録販売者として働き始めたばかりの人たちは、仕事の手順や商品棚、レジの方法といった職場環境を学ばなければなりません。それと同時に、登録販売者本来の役割である「医薬品の正確な知識を持ってお客さんをサポート」するための商品知識を高める必要もあります。
仕事をしながらも、膨大な量の医薬品の成分や正しい服用法を効率的に勉強するには、それなりのコツをつかまなければいけません。まずはどの分野から始めるかターゲットを絞り、そこから関連商品に手を広げていくのがベター。集中できる時間を作り、効率的に情報をインプットしていきましょう。
登録販売者の試験に合格したら、次に目指すのは管理者要件を満たすことです。直近5年以内に24カ月以上、1,920時間以上の実務経験を積み重ね「管理者」の立場を手に入れましょう。
そしてキャリアアップを狙うのならば、やはり正社員という雇用契約が必要です。正社員は責任や転勤なども伴いますが、福利厚生や賞与、そしてキャリアアップが望めます。ドラッグストアで正社員として働く場合、下記のようなキャリアアップ・ポジションが狙えます。
正社員として店舗で働きはじめた人は、まず総合的なルーティングワークをマスターします。そのあとは徐々に売上やスタッフのマネージメントなどを手掛けていきます。
店舗の売上実績への貢献度、アルバイトやパートへのマネージメント能力、年齢などが評価され、それらの能力を上司やエリアマネジャーが認められたら「店長候補者」として選出されるのが一般的です。企業によっては店長昇格試験があり、店長のための研修など経てから店長へ昇進します。
店長を目指すのであれば、意識して店舗運営に必要なマネージメント力やマーケティング力などを培っておきたいところ。責任が伴う分、年収も上がります。
エリアマネジャーとは、担当するエリアを統括する仕事です。各店舗の売上を確認したり、売上が達成できるよう店長にマネジメントします。
自店舗だけを見るのではなく、企業全体の経営方針を理解するなど、総合的な状態をキャッチする意識が必要です。店長としての能力を認められ、エリアマネージャーに昇格する人は少なくありません。
運営会社の本社に就職するのとは別ルートで、現場を経験してから本社に配属になるケースもあります。ドラッグストアの運営企業であれば、店舗運営をサポートする運営管理部や新規出店計画を立案する企画業務などの職に就ける可能性があります。
登録販売者としての豊富な活かす職にはバイヤーも含まれます。バイヤーは商品を仕入れる仕事ですが、顧客ニーズに常にアンテナを張り、需要が高まる商品をいち早く察するセンスと確保する機動力が必要です。各メーカーとのコミュニケーション能力や交渉力も大切な要素になります。
登録販売者として将来のキャリアアップの目標も持つことは大切です。しかしすべての道は自己を磨くことで叶います。
新しい商品知識を習得する努力とお客さんとのコミュニケーション能力は、会社への売上げに貢献することにつながります。それらのノウハウがしっかり身についていれば、もし転職することになっても自信を持って応募先にアピールできるはず。
自己ブランディングを常に意識し、登録販売者としてのステップ&キャリアアップにつなげていきましょう。