ドラッグストアやスーパー、ホームセンターなどのドラッグ売場において、売り場づくりは直接売上に関係すると言っても過言ではありません。消費者のニーズに応じた商品管理と売り場の棚づくり&レイアウト、目を惹くPOPなどを理解して売り場づくりに活かしてください。
店舗の立地によって、商品ニーズが異なるケースがあります。例え品揃えが同じであっても、住宅エリアとオフィス街・駅前・商業地に立地するドラッグストアでは、アピールしやすい棚に陳列すべき商品は異なってきます。
例えば主婦層の利用が多い住宅エリアであれば、医薬品だけでなく、お得感の高い日用品や生活雑貨、食料品など幅広い商品を取り揃えているドラッグストアの評価が高めです。
一方オフィス街や駅前店、商業地であれば、注目度の高いコスメ商品や可愛い雑貨、錠剤数が少なめのコンパクトなパッケージの医薬品や生理用品、男性向けの栄養ドリンクなどが好まれます。
このように、その立地を利用する消費者の目線で売り場づくりをすると客足が伸びてきます。
常備薬とは急な発熱や腹痛といった病気、そして災害など思いがけない状況時に対応できるように備えておきたい医薬品のこと。近年では感染症拡大や地震や水害などの影響もあり、消費者のセルフメディケーション意識が高くなっています。
消費者ニーズに応えるためにも…必要とされる常備薬を選定し、目に着きやすい棚にわかりやすく陳列しましょう。備えておきたい常備薬とそれに付随する医療品には、下記のようなものがあります。
常備薬は将来起こり得る状態に幅広く対応できる商品のほうが適しています。そのため、ピンポイントで効果が高い医薬品より、幅広い目的に使え、リスクの低い商品の方が販売しやすい傾向にあります。
昔からある馴染あるブランドやCMなどでよく目にする商品などのラインナップにしてみましょう。
また医薬品は年齢によって、服用・使用限定される場合があります。ファミリー世代用にお子さん向け、高齢者向けなどわかりやすく陳列するのも忘れずに!
下記のように花粉の季節、蒸し暑い夏期、肌寒い冬季など、消費者ニーズは季節によっても変わってきます。
今はさまざまな便利グッズが登場しているため、対象の医薬品のそばに関連商品を陳列しておくと「ついで買い」してくれる可能性が高くなります。
また、雨が降ってきたら透明傘やレインコートを店頭に素早く配置するなど、天候による店づくりも心がけましょう。
ドラッグストアやスーパー・ホームセンターの医薬品コーナーにおいて、購買意欲をそそるような売り場づくりは重要なポイントです。
売上の高い店舗の商品陳列やレイアウトは、下記のような工夫が見られます。
ゴールデンゾーンとは、陳列棚の中で消費者の目に留まりやすく、手に取りやすい高さの幅のことで「床から60cm~150cm」の範囲と言われています。このゴールデンゾーンに店側が売りたい商品を陳列すれば、他の高さに置くより商品を買ってもらえる可能性が高まります。
ゴンドラエンドとは、商品棚の陳列の端やレジ周りのディスプレイのこと。消費者が店内で動く動線上に位置するために、商品が目に入りやすい傾向にあります。ドラッグストアによっては、一般的な棚の数倍の売上になることもあるようです。
ゾーニングは店内のレイアウトのこと。ドラッグストアであれば医薬品、化粧品、日用品、生活雑貨、食料品といったカテゴリー別にコーナーを設ける陳列方式になりますが、消費者が入口から入ってレジに着くまで、いかに買い物しやすいゾーニングにするかがポイントとなります。
ちなみに日本人は右利きの人が大半ですが、右利きの人は左から右へ視線を動かすケースが多いことから、通路を歩く方向は左回りが良いとされています。
季節の商品と同様に、常に流行や新商品などの情報アンテナを張っておくことも大切です。
新しい医薬品や化粧品のCMが出た、テレビの情報番組で取り上げられた健康食品、有名タレントがSNSで取り上げたなど、消費者の関心が高いとされる商品を素早くゴールデンゾーンに陳列すれば、売上アップにつながります。
商品愛を感じるような手書きのPOPは「ものを言わぬ販売員」として、消費者の購買意欲を刺激する効果があります。こちらでは魅力的なPOPづくりのポイントと注意事項を紹介していきます。
一般消費者に間違った認識を植え付けないよう、医薬品には薬機法で定められた広告規制があります。
販売広告には製薬企業が作るマスメディアを通じて行われる広告をはじめ、薬局や小売業、配置販売業のチラシ・ダイレクトメール・ポスター・ステッカー・POP等も含まれます。
つまり販売促進をしたいあまり、過剰内容のPOPを掲げてしまうと広告規制に違反する可能性があるのです。独自にPOPを作成する前に、次に挙げる広告規制について理解しておきましょう。
事実にない虚偽の表現や誇張した表現を誇大広告と言います。消費者に誤った認識をさせるコピーや内容を謳う広告は禁止されています。また、医薬品のPOPを作成する場合は、本来の効能効果・安全性を逸脱するような過剰な表現を使用しないように注意しましょう。
医薬品や医療機器として認証を受けていないにもかかわらず、効果効能を標ぼうした広告はNGです。
とくに気をつけたいのが、サプリを含む健康食品です。健康食品は一般食品として扱われています。エビデンスのもと特定保険用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品と効能効果を標ぼうできる商品もありますが、それ以外の商品で効能効果を表示すれば違反とみなされます。
医薬品等適正広告基準では、他社の商品を誹謗する広告を禁止しています。また他社商品との比較広告に対しても注意喚起しています。
消費者の目を惹きつけるPOPには幾つかの特徴があります。
「なぜ〇〇の症状の時に効くのか?」「わかりやすい成分表示」などを説明します。文字量が多すぎると読みにくいので、簡潔にまとめることが大切です。
「口コミで話題!」「〇〇(テレビの番組名や雑誌など)で紹介された!」「定価より〇〇%OFF」など、お得情報や話題性の人気商品であるというアピールを強く表現します。
※ただし、医薬品の広告に関しては、効果効能以外の部分で広告したり、品位を損なうような表現でアピールしたりするのは不適切とされています。例に挙げたような表現を強調するPOPを作成する場合は、ドラッグストア内で販売している他の商品(食品やコスメ等)に応用すると良いでしょう。
目的意識なく店舗内を歩いている人でも目に留まるような、カラフルなPOPをづくりましょう。手書きであれば、あまりクセがなく読みやすい文字が必須です。
強調したい言葉にハイライトを入れたり、商品イメージにあうカラーペンを使う、小さなイラストを入れるなどもおすすめですよ。
どんなにカラフルで素敵なコピーと内容のPOPであっても、同列商品棚にPOPが乱列していたら消費者の読む気は失せてしまいます。POPはこれぞ!という商品に絞り、見やすい配置に掲示しましょう。